江口 彰 Laboratory

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教育現場ともっと対話する必要性を感じる理由は

Posted on | 5月 4, 2015 | 教育現場ともっと対話する必要性を感じる理由は はコメントを受け付けていません。

本日、北海道新聞で大きく掲載いただきました。紙面では全てを伝えることがなかなか難しいので、補足的なことを書いておきたいと思います。記事のなかに「教育現場ともっと対話する必要性を感じています」とありますが、ここについてもう少し触れておきたいと思いました。

記事には、教員が他に忙殺されたり、異動てしまうことで継続が難しい学校が出てきたという表現になっていますが、もっと根本的なところでやるべき課題が見えてきたのです。それはカタリ場を学校に導入するしないに関わらず、文科省は学校教育に、地域やNPOと協力しながら子供たちの学習環境を整える方針を打ち出しています。この認識や教員サイドのスキル・経験は、これからの話になります。なにせそういった方針を示されても先生はやり方を習ったことがないわけですし、道内の場合はかなり広域で異動もしますので、地域に根ざしたネットワークを構築しにくいという現実もあるわけです。

普通教員とは、大学で教職課程を受けて採用試験をパスして教員になります。一般企業に勤めて何かプロジェクトベースで物事を作り上げることや、ビジネスをするなど、組織外部コミュニケーションをとる接触は、いたとしても保護者のような方々しかいません。ですから、名刺を持って交換した経験がほとんどない方や、メールでのやりとり、電話での対応といった、学生が社会人1年目で習いそうなことがやったことのない先生も、だんだんと少数になってきたとは思いますが、まだ多くいらっしゃいます。

自分のような立場と学校の接遇をする先生は、校務分掌として名刺を持っているケースや対外的やりとりを経験している先生が多いので、上記のような対外的な経験のない先生との接触機会が少ないのですが、職員会議でカタリ場の導入や継続の検討など議論決定されますので、そういった先生に仕組みや内容を説明して理解してもらった上で、見学いただき、そして検討されているかというと、そこまで至らないケースが見えてきたわけです。

カタリ場は説明するのが難しいカリキュラムですから、接遇担当の先生から学校組織内に上手に伝わることは難度の高いことと感じています。ですから、コミュニケーション機会を上手に作っていかないと、少ない情報や間違った見方で判断されることが起こってしまいます。

また、カタリ場以外も含めて外部と協力して作られる教材は、結局イベント系のものが多く、その前後フォローアップは先生に委ねられることが多いものですから、カリキュラムの特性を知ってもらって活用してもらうしかないのですが、その段階にたどり着けないのが現実として起こっています。そのようなわけで、カタリ場導入以前に何かしら根本的なことを変えていくことの必要性を感じています。

この文科省の方針は間違っていないと考えられますので、どのようにすべきかその最前線の実験台としてできるかぎり先生方と密にコミュニケーションをとりながら、やりやすいシステムへの模索や、なにが足りなくなにが必要なのかを明確に浮き上げていくことがまず大事なことなのかと思うのです。しかしながらこの作業はかなり効率が悪く、民間としては採算を度返しするような話で、コミュニケーションコストが高くつきますので、うまくいくのかどうかがかなり疑問なのです。もっと安価にできないのかと相談されるケースがほとんどですので、ジレンマが漂ってきています。ここが大きな障壁なのだと考えています。

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