江口 彰 Laboratory

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2015年度卒の就職活動に臨む人たちへ

Posted on | 1月 1, 2015 | 2015年度卒の就職活動に臨む人たちへ はコメントを受け付けていません。

新年が明けました。毎年この年末年始ごろになると、大学3年生たちが「就職どうしよう」といった表情や言葉を発するようになります。北海道にいるとのんびり構えている風潮があるので、首都圏よりもそわそわ感が少ないだろうし、モラトリアム的にほんわかしているので、張り詰めた緊張感を持っている人はまだ少数な時期でもあります。今年は、就職協定上解禁日が先送りしてきたので、表向きにはまだ活動しなくて良いとなっていますが、昨今の報道を見ていると就職活動とは名前を隠した活動が随所にやっており、よりアンテナ張った学生とそうでない学生との差は広がったように、格差を助長しているさえも見えます。

大学生たちにどういったアドバイスをすべきかというと、単なる就職支援企業のコンサルタントや人事の方のアドバイスは、スパン的に短い時間軸で話すことが多いでしょうから(もちろんそういった話をしないひともいますが)、もっと長期的で大局的にものをみるような視点を養いつつ、目の前のことをどうするのか、考えるよりも動くことを伝えるようにします。動くとは、考えるための情報や材料を見つけてくることです。

まず先に大局的の視点ですが、就職活動といったものはこれまでどういった変遷をたどってきたかということを知ることと、仕事という概念が変わってきているということ、その文脈の中に自分はいるんだ、といったようなものの見方です。ちょっと昔の就職活動スタートは10/1でという時代があって、早期化され、インターネットでやりとりするのが主流になり、最近は早まったり遅くなったり右往左往し、どういった変化や問題点が生まれてきたのか。そのようななかで、UNIQLOのような全く違った路線の就職の窓口を作ったりもしています。その良し悪しを多少なりとも興味を持って知ることが一つあります。就職活動やるにあたって、就活ってなんだを知るのはまず一歩。

そしてこっちの方がより重要ですが、仕事というものの概念が変化しはじめていること。具体的な例として、終身雇用制が変わったことやグローバル化の影響もあり労働者の流動性が高まったということ、正規雇用や非正規雇用といった雇用における階層化も顕著になったということです。1年近く時間をかけて就職したところで、就職先の企業が無くなるリスクもあるし、仕事そのものがなくなるかもしれない。転職する人も多いでしょう。たった数年いるかいないかわからない。そもそもほとんどの卒業生は今や最初に就職した企業に定年までいようと思っていない。でも大学時代の貴重な時間のなかで相当な時間を割いて就職活動させられている仕組みになっている。理にかなっていないのではないか、と考えるのが普通でしょう。なので、肩に力を入れないことがまず大切なことです。肩に力を入れすぎると物事の考え方がより局所的で対処的なテクニカルな意思決定に陥りがちです。それが大きな間違いを誘発しかねません。また、親と相談してというのも時によってはマイナスになるときがあります。親の時代の仕事観と今はかなり変わってきているからです。

就職する、つまり学業の世界から社会への入り口として人生の一大イベントの狭間において、短絡的思考や少し昔の価値観で選択してしまうことは、今後の人生を歩む上ではリスキーなことだと思います。ですから、まずは大局観をしっかり持つことです。そして上記のことに加えて、自分は何者なのか、自分は何をしたいのか(動機)、自分は何ができるのか(能力)、どういった価値観を持っているのか、(シャインの3つの問い)など、自分自身を考える上での幾つかの指標や考え方がありますから、そこをじっくり考えることです。この時考えるための情報や体験が少ないと思うのであれば、やりやすいものから実践し体験を積み上げることです。ただし徐々にレベルの高く難しいものへシフトして積み上げるということがないと、よくからないままです。何事もそうですが、好きなことやもの、食べ物も含めて、最初にトライしないと自分は何が好きか得意かなんてわかりません。就職活動も社会で働くこともやったことがないので、何に向いているとか、好きとか、嫌いとか、そんなものは究極的にはわからないはずですから、小さな体験や経験がこれまで学生なりに積み上がっているのか、その量と質と、その検証でしかわからないはずです。

経験や体験が少ないと思ったら、これからでも十分間に合うはずです。就職活動そのものを体験活動だと位置付けてもいいと思いますし、20代が終わる頃までにわかっているようになれば良いので、焦る必要はないと思います。ただし今から切り出すのであれば、すでに切り出した人よりもスタートが遅い分、体験のやりやすさしやすさの大学時代の半分以上はすでに失っているのは確かなので、そのあたりは少しだけですが焦りがあったほうが良いでしょう。程よいプレッシャーは自分を成長させる活力になります。何事もバランス。プレッシャーはありすぎると潰れて鬱になりますが、そこそこ適度なものはあったほうが良いのです。このプレッシャーとの向き合い方を学ぶのは大人になるための必須条件です。

上記のようなことを考えるためにも年末年始の時間をゆったり使って欲しいと思います。将来を考える上での書物、これまでの体験や経験を内省するためのヒントがある書物などを見つけて読んだり(またはググってネット記事とかもOK)、知人や友人(旧友も)たちと会話をしながら考え方を見つけたり整理したり、そういった有意義な時間に活用してください。正月だからそんな難しいこと考えないで、楽しくリラックスしたら良いと思っていると、あっという間に時が流れていきますよ。

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