江口 彰 Laboratory

分野は、“教育” “映画” “まちづくり”。次世代への取組みを分かりやすく考えてみる。

環境学習を考えてみる

Posted on | 9月 22, 2013 | 環境学習を考えてみる はコメントを受け付けていません。

ふと思い立って“環境教育”なるものを調べてみました。文科省の環境教育のページには、「現在、温暖化や自然破壊など地球環境の悪化が深刻化し、環境問題への対応が人類の生存と繁栄にとって緊急かつ重要な課題となっています。豊かな自然環境を守り、私たちの子孫に引き継いでいくためには、エネルギーの効率的な利用など環境への負荷が少なく持続可能な社会を構築することが大切です。そのためには、国民が様々な機会を通じて環境問題について学習し、自主的・積極的に環境保全活動に取り組んでいくことが重要であり、特に、21世紀を担う子どもたちへの環境教育は極めて重要な意義を有しています。」と書かれています。持続可能な社会をつくるために、環境についての啓蒙と学習の必要性は年々高まっています。

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平成20年改訂の新学習指導要領の環境教育に関わる内容比較で、小中高と眺めてみましたが、気になった箇所は小学1・2学年の「自分と身近な動物や植物などとのかかわりに関心をもち、自然のすばらしさに気づき、自然を大切にすること」という文面。これは「生活科」というプログラムに盛り込まれています。それ以外は、社会との関わり、自然科学的な分野、健康分野においての学習プログラムがほとんどです。

自分の実体験と世代の背景もありますが、自分が環境教育的な学習をしてきた経緯のほとんどが学校教育以外の活動によるものでした。キャンプやアウトドア・登山や釣りなど、小学生のときはよく家族ともに行っていましたし、NHKの特集番組「地球大紀行」や「ボイジャーの惑星探査」といった番組には、毎回楽しみにみていて、相当影響を受けたと思います。

環境教育の根幹となるのは、自然の神秘に魅了され好奇心が育まれ、それが動機となって環境について興味を持つ。こうした気持ちと知識形成への流れだと思います。そしてその自然の神秘に魅了されることは子どもから大人になっても時々必要なことであり、生涯学習的な位置づけがないと、その気持ちや気づきもさめてしまうのではないでしょうか。

学習指導要領で、小学1・2年の特に身近な自然に気づくという学習に対して、身近ではないものへの気づきといった展開があってもよいのですが、そのへんあまり強調されていないと感じます。何かしらの学習プログラムに包括されて表に現れていないのか、カリキュラムの実施が難しいなどあるのでしょう。確かに険しい野山に連れて行くのは危険なことが多々あります。

カタリバ北海道の活動で集まっている学生とともに地方の学校へ打ち合わせに赴くことがあります。時間がうまく調整できれば、近くの野山に連れて行くということを昨年度あたりからやりはじめてきました。学生の反応は非常にびっくりするもので、感動して何かしら学んで帰って来ているようですし、次も連れて行ってほしいと要望がでてきたり、私も連れていってなど、広まりはじめています。これらは明らかに環境学習的効果が見えていると考えられます。自分も昨年あたりに10数年ぶりに山に登ることを再開しはじめました。動機は、一眼レフカメラを購入していい写真を撮りたいと思ったことと、人間社会から隔離された空間に一時でもいる時間を作りたいと思ったことでした。自分自身に対して“自然のすばらしさに気づき”という学び直しということと休息的意味合いの場作りだったのですが、それを少し学生にお裾分けしていたところから環境学習的な意味を感じはじめています。ほとんどの学生たちは“自然のすばらしさに気づき”という学び直しというよりも、新たな発見があるように見えます。

自然体験学習はリスクもありコストもかかりますから、貧困格差社会になると体験できる機会も減りはじめるでしょう。安全管理もかなりたいへんですから、そうそうできるものではない分野になりはじめているような気がします。身近なものはできるかもしれませんが、子どもが年を重ねるとともに、より神秘的な場所での体験は厳しいかもしれません。さらに「自然の家」の存続問題も各地であるようですし、環境学習の場づくりはもっと工夫すべきことが多いように感じます。

参照ページ)文部科学省・環境教育
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kankyou/index.htm

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